21,07,02 Day22 霊体に分かれる肉はなく
結局、………そのまま、時が過ぎて。
わたしは、相変わらずここにいた。
…………。
……数日経ってなみだもでなくなった。
………。
周りにいた人は、泣いてるわたしを見ても、……変な顔を、するだけじゃ、なくて。
……。
わざわざ、破って入り込んでまで話を聞いてくれて、ありがとうなんて言われたり。
わざわざ、訪ねてきて、話を聞いて、同調してくれたり。
……おばけ、の、話も。
初めから、しとけばよかったと思うくらい、だった。
……。
わたしには、わからなかった。
………ともだち、って、あそんだときのかいぶつと、はなれそうになったときの、かいぶつと、わたしのなかの、かいぶつと。
ごめんなさい、のこえをだそうとするたびにあなたがよぎった。
……やさしくされるたびに、あなたがほほえんでくれたことを、おもいだす。
あなたのはなしをきいた。
とおいばしょのあなたを。
……ころしてしまったあなたはまだおどってるって、きれいだったっていった。 ……とめるし、だいじょうぶっていったいまのとなりの白も、まぶしかった。
……ゆめをげんじつにするようなかみをもらった。
………「おばけ」のこえは、あなたの声ではなくて。
……あなたの声は、不思議の国の人と同じで。
「おばけ」のことをひどいって言われた時に、わたしは、何故かとっても悲しくなった。
…………下手したら、すべてをおいて、ひっくり返して何にも知らないふりをすることもできるみたいだった。
実際に、転生って言うのは、そういう機能もあるみたいで、そういうことを考える人もいるみたいだった。
…………それでも。
「おばけ」を消すために、この紙にサインをしたいとは思わなかった。
今になってなんでこんなことを思うのかはわからない。
ただ、なんだか全部が自分のパーツで、切り離せない気がしただけ。
そう言えば、……小さい子を撫でても出てこなかった。
抱きしめた時に悲しくなったりは、したけど。
…………まるで、今までがおかしかったかのように、いろんなものが沈んでいく。
思い出されたあなたは、笑顔だけになって、呪いはどこかに消えてしまった。
いまはただ、
「おばけ」の代わりの悲しさと、昔のしあわせと、悪いことをしたくるしさだけが残っているそこに、1人、「おばけ」だけが佇んでいる。